Aさん夫婦の精神科病棟入院生活 2

Aさんが毎週週末になると面会に行っていたころの話し。まだ外出は許されていなかった。

ただ会っておしゃべりするだけではすぐにあきちゃうので、花の種や球根をもっていって、庭に蒔いたり植えたりすることにした。花壇にも蒔いたが、雑草が生えているようなところにも雑草をぬいて種を蒔いていった。もちろん許可を得ていない。そっと誰にも気づかれないようにした。

そのうちに芽が出てきた。毎週それを見に行くのはささやかな楽しみだった。やがて花をつけだした。たくさん花が咲き出したのを見つけて、こんなところに誰が蒔いたのだろうと不思議に思ってみているのをわきで見ているのも楽しい。特ににほんあさがおがよく花をつけた。

けれど、そのうちにその花は誰かの手によって苅られてしまった。そして院長から呼び出されて、きつく怒られた。
「そんなことを勝手にやられては困る。どこに人の庭に勝手に花を植えていく人がいるかね。」更に院長はいった。「だいいち、そういうことをみんながやり出したらどうなるんだ」と語気をあらめていいだしたので、すかさずこういってしまった。
「そうしたら花いっぱいのとてもステキな病院になるのではありませんか?」
院長先生には返す言葉がなかったそうである。

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