Aさん夫婦の精神科病棟入院生活 1

Aさんの奥様は統合失調症をわずらって、入退院を繰り返している。そのAさんから聞いた話。わたしはこういう話しはとても福音的で好きだ。

最初の入院は3か月。2度目の入院は1年。3度目の入院は3年だった。3度のうち2度は発作がおきてなかば本人の意志に反しての強制的な入院だった。
するとだいたいがはじめは面会謝絶でかぎのかかった部屋に入れられる。
それがだんだんと快方に向かうと、普通の病室にうつされ、先ず面会が許される。
次に一緒に外出をすることができるようになる。
さらに、長時間の外出が認められる。
そして外泊ができるようになり、それが2泊3泊となって家に帰れるようになる。
そして晴れて退院となるのである。

実はこのステップは、恋人時代から新婚生活にうつるのと同じ感じになるのだという。
入院してはじめて面会に行くときは、胸ときめかせた初デートのよう。
週末に外泊が許可されるのを迎えにいくときの気持ちも恋人を迎えに行くときの気分。
そして晴れて退院して一緒に生活できるのはまったく新婚生活そのものなのである。
「わたしは恋人から新婚への恋愛時代を4回も経験したよ」かれは明るくそう言う。

別に精神科でなくても闘病体験を持つ人は、多かれ少なかれこういう体験を持っているのではないか。

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