卒業式の日は生涯わすれえぬ日となった

聖パウロ学園の卒業式は3月3日の日に八王子市のいちょう会館でおこなわれた。高3とその保護者だけの卒業式だった。
わたしは卒業式には毎年出席するようにしている。
いつものようなかたどおりの卒業証書授与式のあと、そのままかんたんな謝恩会があった。例年だったら市内のホテルでの食事付きの謝恩会なのだが、ことしはそのままつづいておこなわれた。

そのおわりのほうで出席している先生がたがみな壇上に呼び出された。わたしは講師だしとおもっていて席についていたらよびだされた。
そうしたら、生徒の代表が卒業生全員がかいたメッセージカードを贈呈するという。そのときにわたしにカードを渡す役の生徒は私の授業でもっともさわいでいて授業を妨害していたヤツだった。そいつがいきなりハグしてきてわたしにメッセージカードをわたしてくれたのである。
「よもやあいつが」とおもっていたので、あとで担任の先生にきいてみた。「あれは自分でなのりをあげてあの役をひきうけたのか、それともまわりからいわれてしかたなくひきうけたのか」と。そしたら「自分が一ばん先生に迷惑をかけたからせめてものつみほろぼしに」といったのだという。「生徒ってかわいいな」ってそのときおもった。

もうひとつうれしかったのはそのメッセージカードにかかれていたことだった。ほとんどが感謝のことばだった。

「先生の授業は他ではうけられない貴重な授業で、とても楽しかった」というのが多かった。なかには授業の最中、居眠りと内職ばかりしていた生徒にかかれると「ほんとかよ」といいたくなるのもあったのだが、まあお世辞半分だったとしてもわるいきもちはしない。

そのなかにこういうのがあった。これは特別にうれしかった。苦労がいっぺんに報われた感じがしたのである。
「3年間ありがとうございました。大学でも精一杯勉強して土屋先生みたいな宗教の先生になれるよう努力していきたいと考えています。ありがとうございました。」
この生徒は上智大学神学部へ進学した。それをしって「えっ!」と驚いたのだが、このメッセージカードを読んでそういうことだったのかとあらためて納得したのである。
野球部の生徒で授業中は目立たない生徒だったけど、そういえば静かに授業をよく聞いていた生徒だったとおもった。

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