オムソーリ(分かち合い)の経済学

「分かち合い」の経済学(神野直彦 岩波新書)という新書本を例の如く横浜市立図書館ネットワークをとおして借りた、
まずこの本の紹介から

 深刻な経済危機が世界を覆っている。不況にあえぐ日本でも失業者が増大し、貧困や格差が広がるばかり。この「危機の時代」を克服するには「痛み」や「幸福」を社会全体でわかちあう、新しい経済システムの構築が急務だ。日本の産業構造や社会保障のあり方を検証し、誰もが人間らしく働き、生活できる社会を具体的に提案する。

まず冒頭に「オムソーリ」という言葉が紹介される。スウェーデン語である。

スウェーデン語に「オムソーリ」という素敵な言葉がある。「オムソーリ」とは「社会サービス」を意味するけれど、その原義は「悲しみの分かち合い」である。「オムソーリ」は「悲しみを分かち合い」「優しさを分かち合い」ながら生きている、スウェーデン社会の秘密を解き明かす言葉だといっても言い過ぎではない。

たしかになかなかステキな言葉である。ことばだけでなく、この言葉が示す実態もなかなかステキである。いかにも北欧らしい経済学であろう。

 幸福は分かち合うべきものである。現在の危機は分かち合うべき幸福を奪い合うとされていることから生じている。能動的希望としての分かち合い
もう一つの言葉の「ラーゴム」は「ほどほど」というような意味である。極端に貧しいことも極端に豊かなことも嫌悪するスウェーデン人が追求する重要な価値である。つまり、超過も不足も悪徳(カキア)する「中庸の徳」という倫理を評している。

「奪い合えば足りず、分かち合えば余る」たしか相田みつおさんのことばである。この基本的な理念のもとに「分かち合いの経済学」がさらに具体的に実践的に展開されることを期待したい。

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