札幌市資料館の正門
遠友夜学校記念室のあった札幌市資料館はなかなか興味ある資料館だった。
まず、正面玄関。ここの車寄せ上部のひさし部分に書かれてある「札幌控訴院」の文字。独特の書体である。ここはもと「控訴院」という名の裁判所跡だった。
その左右には、公平を表す秤と正義を表す剣を組み合わせた文様が刻まれていて、上部中央にはギリシャ神話の目かくしをした女神がおかれている。
さらに奥壁の左右には真実を照らす鏡も彫り込まれていて、いかにも裁判所らしい「法の権威と公正の原則」がいかめしく表現されている。
ところで、この「目かくしされた女神」はなぜ目かくしをしているのかが、話題になったので調べてみたら、これは法の女神テミスで、目かくしは予断を排除して公正な裁きができるように目かくしをしているらしい。この法と正義の女神はイケメンの男に弱かったにちがいないと思わせる『目かくし』である。
こんな解釈もあった。
目隠しについて長尾龍一は正義の実力的側面に着目し、「正義の女神は娼婦であり、戦いの結果が明らかになった段階で勝者の胸に抱かれる。また闘争が起こり勝者が入れ替わると新たな勝者の胸に抱かれる。正義の女神は腕づくで押さえこまねばならない」点の寓意したものと解釈する[3]。
この長尾龍一先生は、そういえば私が所属していた弁論部の顧問だった。こんなところでお目にかかるとは。
ところで、この札幌市資料館には、遠友夜学校記念室とともに「おおば比呂司記念室」も常設されていて、そこも見学した。独特の味わいのあるイラストを描いている画家で、そういえばこの人の絵を広告やパッケージデザインでけっこう見ているのに気がついた。
そとにでたら大通公園の紅葉がとても美しかった。この日は曇っていたのだが、晴れていたらもっと輝いて色鮮やかに見えたであろう。