日曜日の毎日歌壇が楽しみである。
毎週日曜日の毎日新聞に乗る「毎日歌壇」を読むのが楽しみである。
今はなき河野裕子さんが選者だった時からここを読むのが楽しくなった。
朝日新聞にも歌壇はあるが、なぜか毎日新聞のほうが気にいる歌が多い。朝日のほうがお高く止まっているような気がするのだ。
たとえば1月9日の「毎日歌壇」から気に入った歌を拾ってみよう。
心配になるほど待ってやっと来たバスのライトがほんのり温い
手袋をしないできみに逢いに行くそんなことさえ駆け引きだった
どんな「駆け引き」なのだろうか。想像すると胸がときめく。私の若い時を思い出して。
間違えて風邪薬ひとつ飲み過ぎて吹雪にさらわれる夢を見た
風邪薬と「吹雪にさらわれる夢」とに関係があるのを知らなかった。
歯ざわりの違いだけなのあの人を好きであなたを大嫌いなのは
もしもこう言われたらわたしの落ち込みは救いようないほど大きいような気がする。
母だってアブナイハシを渡りたい 弁当箱の隅にささやく
この母の気持ちをわからないでもないような気がするが、実はちっともわかっていないのかもしれない。母の「アブナイハシ」とはなんぞや?
これらの歌はみな加藤次郎選である。なぜかこのひとの選にひかれるのである。