4福音書のシンボル
「カトリック生活」9月号の特集「教会のシンボル大集合!」を読んでいて、4人の福音史家が4つのシンボルで描かれるということがおもしろかったので、少し調べてみました。
マタイは、キリストの系図をたどり人間性を強調することから、翼を持った人(天使)がシンボルである。
マルコは、キリストの王としての威厳を伝えることから、翼を持ったライオンの姿である。これはベネチアの守護の聖人象としても有名である。
ルカは、キリストの犠牲を強調するため、古代のいけにえの獣になぞらえて翼を持った雄牛のすがたである。
ヨハネは、天の神秘を誰よりも深く見通し、神の言葉で豊かな霊感で記述したことからわしの姿で描かれる。
人間イエスをもっともいきいきと描いたのはマルコじゃないかとか、ルカのいけにえはなぜ羊じゃないんだとか疑問がおこってきたが、これには実は出典があるらしい。
エゼキエル書1章1-28節に出てくる四つの有翼の生き物(10節によると人間、獅子、牛、鷲)とそれも踏まえた黙示録4章1-11節に出てくる同様の生き物(7節によると獅子、雄牛、人間、鷲)がやがて教父たちにより、四福音記者のシンボルとして解説されるようになる。
2世紀末のリヨンの司教イレネウス(エイレナイオス)は、上述の四つの生き物をまず神の救いの計画の四つの次元を表すものと考えた。獅子はキリストの王としての姿、雄牛は大祭司キリストの奉献、人間はキリストの人としての来臨、鷲は教会に降る聖霊のシンボルと考えた彼は、さらに獅子をヨハネ福音書、雄牛をルカ福音書、人間をマタイ福音書、鷲をマルコ福音書のシンボルとした。
その後、教父により四つの生き物のあてはめ方が多少変わるが、4世紀のヒエロニムスは、人間をマタイ、獅子をマルコ、牛をルカ、鷲をヨハネに当てはめた(エゼキエルの生き物の順と福音書の順も一致)。
マルコが獅子である理由として、荒れ野で回心を叫ぶ洗礼者ヨハネを念頭においているらしい。ヒエロニムスが西方教会では教会博士としての権威を持つことから、彼の適用法が絵画表現の伝統ともなる。
なるほど、こういう教会の伝統から定められたことなんだと妙にナットクした。今日の入門講座で「教会のシンボル」をとりあげてみよう。教会はこういうシンボルだらけであり、これを読み解いていくのはけっこう楽しい。