柳と楊 どちらもヤナギ
ヤナギという木の名前は「矢の木」つまり弓矢の矢の材料にしたことから付いた名前だといわれています。
ヤナギの生長はとても早いということを前に書きました。でも自ら茂らせた枝の重みに絶えかねて途中で折れてしまうということから身の程知らずな「バカヤナギ」と呼ばれているということは前に書きました。
ところでヤナギには2種類の漢字があります。「柳」と「楊」です。どう違うか分かりますか?
「柳」はその漢字の形が示す如く枝が長くたれさがる、シダレヤナギのことです。
そして「楊」はネコヤナギやカワヤナギとかのようなしだれないヤナギのことです。
ヤナギは薬木としてよく利用されています。ヤナギの樹皮は解熱鎮痛剤として使われていたということです。樹皮に含まれる「サリシン」という成分は、アスピリンの母体となったそうです。
そういえば「楊枝(ようじ)」は楊ですね。楊の樹木の枝の先端をかみ砕いて繊維を出して歯ブラシ状にした房楊枝として使われていました。そこから楊枝になったようです。
ネコヤナギの花言葉は「努力が報われる」というのだそうです。激流に絶えて川岸にへばりつくありさまからこういう花言葉がついたのでしょう。
万葉集に
「山の際(ま)に 雪は降りつつ しかすがに この河楊(かわやぎ)は 萌えにけるかも」
という歌があります。「山間ではまだ雪が降っていますが、このネコヤナギはもう芽吹いています。」という意味の歌でしょう。