映画「ヤコブへの手紙」と伊藤神父のミニトークショウ
映画「ヤコブへの手紙」を銀座に見に行った。友人の伊藤神父がこの映画の後に「ミニトークショウ」をするからぜひ来てくれとすすめられたので、わざわざ銀座まで見に行った。
結論から言うと、彼の推薦にふさわしいみがいのあるいい映画だったと思う。その後のかれの話もなかなかよかった。
伊藤神父がそのあとのトークショウで解説していたように、これはとてもキリスト教的な映画であった。ヤコブ神父の徹底した祈りと愛の行為についに終身刑を恩赦で許された女性レイラが心を開くのである。でもそれはヤコブ神父の最期の時であった。
この映画の舞台となった教会はとてもカトリック教会ににていた。マリア像はあるし、牧師はローマンカラーをつけているし、教会で牧師があげたのはミサに類似していたし、それに手紙で祈りを依頼し、それに応えて祈るというのはカトリック教会の観想修道会の伝統であり、プロテスタントにこういう伝統があるというのをあまり聞いたことがなかったからである。
しかし、いろいろと調べたりたずねたりしてみると、フィンランドの教会には古いカトリック教会の建物をそのまま使っているところがあるとか、ルター派の牧師もロマンカラーをつけているとか、聖餐式もミサによく似ているとかいうことがあるようである。
私の全くの認識不足であった。
この映画を見て、「最上のわざ」というドイツの詩を思い出した。「人生の秋」にできる「最上のわざ」は「祈り」であるということをこの映画はとても美しく描いていた。ヤコブ牧師はまさにその祈りを自分の最後のミッションととらえてあの教会で生き続けていたのであり、その祈りがレイラの心を開いていった。
このトークショウに参加したお客さんに「ヤコブへの手紙」レターセットが配られた。他の日の牧師さんがトークショウをされたときにもこれは配られたそうだが、もしこのような祈りをお願いしたいときにはぜひこのレターセットを使って、伊藤神父さんのところに手紙を出してくださいというしゃれたプレゼントであった。
もっとも伊藤神父は「わたしは筆無精なのでかならずしも返事をすぐに書けないかもしれませんが、むしろぜひ目黒教会に来てください。ただし映画を見に行っていて不在かもしれませんが………」と言われていたことが何だかうれしかったのである。さっそく目黒教会に行ってみようと決意した。