創発する民主主義へ

2011年9月3日の朝日新聞に「創発する民主主義へ −現場からの発信で新たな政治を想像 ネットが後押し」というタイトルの記事が載っていて、とても興味深く読んだ。これは MIT メディアラボ所長の伊藤穣一さんという方へのインタビュー記事である。

この内容については、ここに掲載されているのでそれを参照してほしい。
内容をかいつまんで紹介すると

草の根から現場から生まれてくる直接民主主義に近い政治的な秩序

討論型世論調査 無作為に抽出したごく普通の人を一箇所に集め、税制とか年金とかのややこしい問題を数日間議論してもらう。するとひとりひとりのレベルを超えた深い意見が出るようになり、全体としての判断もより適切な方向に変化していく

今中東で起きていることはまさにこの創発型民主主義

このインタビュー記事では「創発」をこう説明している。

「例えばアリは一匹一匹に高い知性はありませんが、群れとしてはとても複雑な共同作業をします。巣をつくり、ごみ捨て場や、死んだ仲間の墓地もつくる。個々の単純な動きが相互に作用し、いわばボトムアップで思いがけない高度な秩序が生まれていく。そういう現象を創発と呼びます。例えば大都市でも、トップダウンの都市計画より住民の相互作用から生み出された街並みの方がうまくいく。これも創発です」

私は以前この「創発」という概念のおもしろさについて、紹介した。
私はそこでこんなふうに説明した。

「人工生命」を研究する専門的な立場からの「創発」とは「総体を構成する各部分間の相互作用により,上位レベルの特質や振舞いが現出する現象」あるいは,「上位レベルが現出すると同時に逆にその上位レベルが下位レベルを制御して新たな秩序を生む現象」というのがひとつの定義である。
 つまりは個体がそれぞれに起こしたアクションが個体間の相互作用の繰り返しによってあるグループ、つまりは社会におけるひとつのアクションを引き起こす現象、またはその逆の現象などを創発とよぶ.
 「単純なものが相互作用しあって複雑な挙動を示す(発する)」現象である。「複雑系」と呼ばれる分野の解き口の重大なひとつとされている。

この「創発型民主主義」のアイディアの進化と伊藤穣一さんに注目していこうと思っている。

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