凍裂(とおれつ)北の森でおこる強烈さ
札幌にいる義妹からこう聞かれた。
「お義兄さん、凍裂って知っていますか?」
「知らない、なにそれ?」
「北海道の人しか知らない森の現象です。森の木の中の水分が凍って幹が縦方向に弾けるように避けるんです。その時の音が強烈で森中に響きます。その音は聞いたことがありませんが、−25度以下で起きるのすが、森のあちこちからその悲鳴のような音が聞こえるのだそうです。」
「それで、その木は枯れてしまうのですか?」
「そこがすごいところです。枯れずに木が自ら裂けた部分を修復していくんですね。痛々しくあとは残るので、その木が凍裂のあった木であることは見る人が見れば分かります。」
「どういう木に起こるの?」
「トドマツとかスギとかが有名ですが、ナラ、ニレ、ドロノキ、ヤチダモ、ヤナギ等の広葉樹にも発生することが報告されています。富士山の麓の樹林帯でもシラビソとかオオシラビソの木で見られるみたいです。東北では日本海側よりも太平洋側に多く見られるとか。」
「へえ〜、知らなかったな。」
「他にも北海道でしか見られないいろいろな現象があるんですよ。ダイヤモンドダストとかサンピラーとか、けあらしとか。それを実際にこの目で見てこの耳で聞いてみたいと思っているんですが。
実は、凍裂をテーマに人形を作りました。どうですか?」
「いや、これは痛々しいな。」
「そうなんです。これを展示しておくと見る人が後ろ向きにしてしまうんです。あまりに痛々しいからでしょうか。」