元気に死んでください。
カトリック真生会館の機関誌「Vital(ヴィタル)」の2010年春号にこんな記事が出ていた。
お茶の水女子大学名誉教授の中村弓子さんの「キリスト教における心身合一」というタイトルの文章の最後である。引用してみよう。
この地上の命と永遠の命の間が繋がっているという本質的継続性に関して、私は最近すばらしい言葉に出会いました。大江健三郎の「200年の子供」というメルヘンの中に見いだされた言葉です。特別な直感力を持つご長男の光さんが、気丈でいらしたおばあ様の臨終に際して発せられた言葉です。「おばあさん、元気に死んでください。」この言葉に出会ってわたしは、「これは私の探していた言葉だ」と思いました。人に対しても自分に対しても私は言いたいと思います。「元気に生きてください。そして元気に死んでください。」
そもそも「元気に死ぬ」なんて言葉は自己矛盾で、元気がないから死ぬのではないか、普通だったらこう考えるでしょうし、「元気に死ぬ」っていうのはどういうのか、イメージが浮かばないでしょう。
でも、わたしは「元気に死ぬ」というのはありうると思うのです。そしてわたしも「元気に生きてきたように元気に死にたい」と思っています。正直に言うと「もっと生きた〜い」って絶叫して死にたい。絶叫する元気があるなら死なないかもね。