「湖畔の乙女」高村光太郎、佐藤春夫、本間千代子
高校時代の修学旅行は東北でした。十和田湖で高村光太郎の「湖畔の乙女」像をみて」バスガイドさんが教えてくれた歌が「湖畔の乙女」です。男子校だったので、みなで心を込めて歌いました。
ただし、この「湖畔の乙女」像は少し太めでちっとも乙女らしくなく、評判が悪かったのですが、歌はとても気に入りました。
この歌は、本間千代子が歌っています。私の修学旅行後だったような気がしますが、定かではありません。
そこで歌の歌詞を探してみました。
湖畔の乙女
天降りしか
水沫(みなわ)凝(こ)りしか
あはれ いみじき
湖畔の乙女
ふたりむかひて
何をか語る花かもみぢか
水の清らか
はたや いみじき
久遠の身をか
あらずみたりの
ゆかしき人を
この詩は佐藤春夫の詩です。十和田湖を開発した三恩人を記念する碑(「みちのく」)の成立を祝して贈られた詩ということです。二連目の”みたり”はその三人を記念してこのように言うそうです。
それから光太郎はこの彫刻にこういう思いを込めて取り組んだと書いてありました。
「湖水に写った自分の像を見ているうちに、同じものが向かい合い、見合うなかで深まっていくものがあることを感じた。それで同じものをわざと向かい合わせた」
「二体の背の線を伸ばした三角形が″無限″を表す」
「彫刻は空間を見る。二体の問にできるスキ問に面白味がある」と、モチーフを語っている。
春夫も「十和田湖の自然を雄大で静かで、内面的な風景と見て、そうした自然の味わい方を表現したもの」と解釈していた。
この彫刻は光太郎の最後の彫刻作品であったようです。