いよさんが発するオーラ

最近、91歳の母いよさんをつれて、電車に乗ることが多くなった。先週の土曜日も湯河原まで行って、ある集まりに参加した。
いよさんを車いすにのせ、それをおしてでかけるのだが、これができるのも駅にエレベーターが完備されてきたからである。
鶴見駅で2回、横浜駅で乗り換えるときに2回、そして湯河原に行って会場に着くまでに3回もエレベーターに乗る。駅では「お手伝いが入りますか?」と駅員が必ず声をかけてくれる。自動改札を車いすが通り抜けられないので、切符を買って改札をしてもらわなければならない。

電車に乗るときに、声をかけられるのは駅員だけでない。ずいぶんいろいろな人に「手伝いましょうか?」と声をかけられるのが、うれしい。
この日は、京浜東北線の中で中国人とみられる人が日本語で声をかけてきた。
「おばあちゃん、お元気そうですね。とても輝いています」
「はあ、おかげさまで。ありがとうございます。」
こんな短いやりとりがあった。「輝いています」というのは、おそらく中国語では最高級の誉め言葉なんだろうなと想像してしまった。日本語ではこういう使い方はしないだろう。

東海道線の湘南電車の中では、前に座っている人が、ときどきいよさんを見ながらスケッチブックに色鉛筆でスケッチしていた。
スケッチが終わると、スケッチした絵をスケッチブックから切り離して、はいといって差し出された。そこに描かれていたのは、こんな絵だった。

iyosan

「何十年前のおばあちゃんの若かりし頃を想像して描きました。若いときは美人だったんでしょうね。」
「え、ありがとうございます。この絵、いよさんの若いときの似顔絵なんだってさ〜。にている?」
「にてな〜い。こんな美人じゃなかったよう。」というのはいよさんの声。

いよさんはしらずしらずのうちにオーラみたいなものを発していて、それをみると声をかけたくなるものらしい。
かけられる声で一番多いのは
「親孝行な息子さんをもって幸せですね〜」というものである。もちろん息子の前で、いよさんに直接いう。
そんなとき、わたしはいよさんに
「そんな親孝行じゃないよね。いよさんにいつもいじわるしているもんね。たとえばこんなふうに」
といよさんのほっぺをつねることにしている。いよさんのほっぺはちょっとたれているが、とてもやわらかくてつまむととても気持ちがいいのだ。

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