『井上ひさしの 子どもに伝える日本国憲法』の前文

ある新聞を読んでいたら、『井上ひさしの子どもに伝える日本国憲法』(講談社)の引用が目にとまった。井上ひさしらしいわかりやすい文章でしかも格調高く憲法前文が翻訳されている。

私たちが、同じ願いをもつ 世界のほかの国国の人たちと 
心をつくして話し合い そして力を合わせるなら
かならず戦(いくさ)はいらなくなる
私たちはそのようにかたく 覚悟をきめたのだ

私たちは、人間らしい生き方を尊ぶという
まことの世界をまごころから願っている
人間らしく生きるための決まりを大切にする
おだやかな世界を まっすぐに願っている
だから私たちは どんなもめごとが起こっても
これまでのように 軍隊や武器の力で
かたづけてしまうやり方は選ばない
殺したり殺されたりするのは
人間という生き方だとは考えられないからだ
どんな国も自分を守るために 軍隊を持つことができる
けれども私たちは 人間としての勇気をふるいおこして
この国がつづくかぎり その立場を捨てることにした
どんなもめごとも 筋道をたどってよく考えて ことばの力をつくせば かならずしずまると信じるからである
よく考えぬかれたことばこそ
私たちのほんとうの力なのだ
そのために、私たちは戦(いくさ)をする力を
持たないことにする
また、国は戦うことができるという立場も
みとめないことにした

これを読んで何を感じられただろうか。
憲法は自衛権を否定していない。憲法9条のもとでの自衛隊を認める詭弁であるが、この訳ではそれをあえて明示して「けれどもわたしたちは………その立場を捨てることにした」と書いているところにその気概を感じる。

憲法前文は、原文も難解ではあるが、美しい文であると思う。そしてこの文はそれ以上にやさしくかつ美しい文であると思う。
今度この本を借りて、ほかの文章も読まなければいけないと強く思った。
ところでこれはいつの何新聞のどん記事に引用されていたのか、探してもなかなか見つからない。

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