地獄の中に天国が立ち上がる A paradise built in hell
「A paradise built in hell ーThe Extraordinary Communities That Arise in Disaster」
「災害ユートピア −なぜそのとき特別な共同体がたちあがるのか?」(レベッカ・ソルニット 高月園子訳 亜紀書房 2010年12月)という本が評判になっているようだ。
この本を知ったのは、毎日新聞2011年7月6日「水説 潮田道夫」による。
米国の作家レベッカ・ソルニットの「災害ユートピア−なぜそのとき特別な共同体がたちあがるのか?」(亜紀書房)によれば、大災害の時「地獄で天国が立ち上がる」現象が世界中で観察されている。何も日本だけがそうなのではない。
さらにこの論説では「エリート・パニック」についても述べられている。これもこの本に取り上げられていることである。
社会の指導的地位にあるひとびと、つまり、政治家などのエリートたちが、危機に際して市民がパニックに陥るのではないか、と怖れるあまりに自らがパニックになってしまうことだ。
実は私はまだこの本を読んでいない。私はこれを知ってさっそく横浜市の図書館ネットにて予約したら、200人待ちの状態だった。
この本はいいよと薦めた友人がさっそく本を求めた。かれの家をたずねたら、その本が置いてあったというわけである。かれの行動の速さに敬服した。
この本の帯には「5つのなぜ?」について紹介されていた。
災害時になぜ人々は無償の行為を行うのか
まぜ混乱の最中に人々は秩序だった動きができるのか
なぜ災害が起こるとエリートはパニックを起こすのか
市民ではなく軍隊や警察官が犯罪行為を起こすのはなぜか
地震のあとニカラグアで革命へと突き進んだのはなぜか
この本は昨年の12月に刊行されている。つまり今回の震災の前に書かれたものである。
私はキリシタン時代の「鈴田の牢」のことを思い出した。迫害拷問にさらされたあの地獄のなかの牢屋に「信仰と祈りの共同体」が表れた話である。