「風のかたち」をみました
6月12日川崎新百合ヶ丘のアートホールで、SIGNIS Japan 主催のカトリック映画賞授賞式ならびに上映会にいきました。
前にお知らせしたとおり、今年の受賞映画は「風のかたち −小児ガンと仲間たちの10年」という映画でした。
とても感動的なカトリック映画賞にふさわしい作品だったと思います。ぜひご覧になることをオススメします。
この映画は、聖路加病院の細谷亮太医師らが呼びかけて毎年実施している小児ガンの子どもたちのキャンプを10年間撮影したフィルムを編集したドキュメンタリー映画です。
「小児ガンは今では10人中7〜8人が完治する」病気であるといわれます。キャンプにずっと参加してくる子どもたちをずっと追っていくと元気になっていく子どもも多いのですが、中には途中で亡くなってしまった子もいました。その子どもたちの成長を「定点観測」したドキュメンタリー映画です。
ある年のキャンプの帰りのバスを撮影した場面がありました。雨の中をバスがハイウエイを走っていきます。ほとんどの子どもたちは疲れ切って寝ているのですが、中にふたりの男の子と女の子が外の雨の景色を黙ってずっと見続けていました。
そしてそのふたりの子はその年の終わり頃に亡くなりました。
まるでこの世の景色をずっと見るのが間もなくできなくなるということを察していたかのように、見続けていたというのです。
ただし、この場面を私がはじめて見たときには。その背景がわかりませんでした。
映画の上映が終わって、伊勢真一監督と細谷亮太医師との対談で知らされたことでした。
2度見たならば分かったかもしれませんが、一度だけでは分かりませんでした。
このドキュメンタリー映画にはまだそういうことが隠れていそうです。2度目3度目と何回か見てそのつど新しく発見していくことがあるに違いないのです。そういう映画でした。
なお伊勢監督と細谷医師はこの授賞式と映画会をとても誉めておられました。このホールの音響の良さということもあったのですが、それ以上にこの映画の受賞理由の説明となった晴佐久神父の紹介と表彰状の文句がとてもいいともらしておられました。
確かに私もそう思いました。
晴佐久神父の映画紹介も実にみごとだったと思います。