「縮み」志向の日本人 李御寧 著 その3
「精神の液体 お茶とお酒」と題する以下の話しはなかなかおもしろいです。「へ〜、そういうもんかねぇ」という感じですが………。
茶は眠気を覚ます水であり、人間の目をあけがたの泉のように透明にする目覚めた水である。
それに対して、酒は人間の心を眠りに誘い、その陶酔の力は水平線に向かう浪の運動のように人間の意識を揺さぶってやまず、遠いところに運ぶのである。
「酒も茶も、ともに日常的な精神にある刺激と変化を引き起こす効果を与えていますけれども、その特性は両極をなすもので、一方は「目を醒ませ」一方は「酔わせ」さらに一方は「心を集中させ」一方は「心を緩やかに」する。
一言で言えば、茶のカフェインは「縮みの文化」(茶会)であり、酒のアルコールは「広がりの文化」(酒宴)を象徴するものだと言えるだろう。
栄西が日本最初の茶の書である「喫茶養生記」を書いたのは、三代将軍実朝が酒をやめ、より安全な飲み物である茶を飲んでアルコール中毒を治すように願ってのことだという話しが伝わっている。
アルコールとお茶(カフェイン)は日本に限らずどこの国にもあるように思うのですがねぇ。