どーしてこーなる? こーしたらどーなる? どーしたらこーなる?

私は「日曜喫茶室」というNHKFMの番組が好きで、その番組を録音したカセットテープをたくさん持っている。車を運転するときや、散歩するとき、植木を切ったりする庭仕事をするときにそれを少しずつ聴いている。
そのなかにいつ放送されたかはわからないのだが、「不思議大好き実験大好き」というテーマの放送があり、これがなかなかおもしろかったので紹介したい。

この日の出演者は「仮説実験授業」の板倉聖宣さんで、いくつかの「仮説実験授業」を紹介された。
「仮説実験授業」とは科学の実験をする前に、生徒たちが結果を予想して議論をし、その後に実験をしてどの考えが正しいかを検証するというものである。

まず、「仮説実験授業」の定番ものである「電気を通すものと通さないもの」という実験について紹介した。
電池に豆電球とブザーを接続し、あるものをはさんで、電気を通せば電球がつきブザーが鳴るようにした実験装置を用意する。そこにいろいろな物をはさんで、電気を通すか、通さないかを確かめる「実験」をするわけである。

一番最初に試したのは「一円玉」つまりアルミニウムである。これは電気を通すかどうかを予想し、その理由について議論をして、実際にやってみる。
銅は電気をよく通すことは知っていても、アルミはどうだったっけ? 結果は、ブザーが鳴る。
「では5円玉は?」「10円玉は?」用意した硬貨を次々に予想しながら実験する。いずれも電気を通すものである。どうも「金属」はみな通すようである。

「では1万円札では?」ここで意見が分かれる。「紙だから通さない」という説と「磁気インクが使われているからインクの印刷されている部分は通すのではないか」という説に分かれる。
実験してみると、通さないのである。

誰かが、「濡らしたお札では?」といった。「濡れた手で電気を触ると感電するという話を聞いたことがあるから、通すのではないか」という意見が出る。
実験してみると、通さない。

「じゃあ、アラザン(ケーキに載っている銀色の砂糖つぶ)では、どうだろう?」
多くの人は「通さない」という予想であった。
ところがその予想はみごとに外れる。実際には電気を通すのである。
「アラザン」はフランス語では「銀」を意味する。つまり砂糖をうすい銀で包んでいるので、電気を通すのである。どうも「金属光沢」が問題のようである。

次に出したのはあめ玉の包み紙、金属光沢を持ったビニールのものである。これは電気を通すのである。ビニールにうすいアルミ箔をコーティングしてあるからでだという。

金属は「自由電子をもっていて、この自由電子が電気を伝える」という説明がなされる。

「これではどうか」「ではこれならどうか」という実験を重ねて「金属は通す」という「法則」をつかむ。その法則をさらに検証するために「アラザン」や「銀色にコーティングしたビニール」などの疑わしいものを用意する。
「アラザン」のように、おおかたの予想を裏切るような「しろもの」が用意できたら効果は満点である。

「飛行物体の研究」をしていたとき、こういう種類の実験で子どもたちが持つ疑問は
「こーしたらどーなるのか?」
「どーしたらこーなるのか?」
「どーしてこーなるのか?」
という3種類になるということに気がついた。
第1のタイプの疑問「こーしたらどーなる?」は「実験」「経験」へと導く。
第2のタイプの疑問「どーしたらこーなる?」は、「技術」へと導く。これは第1のタイプの実験を積み重ねて答えが見つかるものであろう。
第3のタイプ「どーしてこーなる?」は「理論」を導く。おそらくこれがもっとも難しいのではないか。
まさにこの3種類の疑問を系統的に解明するのに「仮説実験授業」は実に効果的なのである。

実は、わたしは明日(6月7日)横浜で「おもしろ科学実験インストラクター」の講習をうけようとしているところである。こういう科学実験のおもしろさを子どもたちと共有できたらと思って、この講習に応募した。
私のこれまで行ってきた「飛行物体の研究」や「科学おもちゃコレクション」がきっと役立つと思うので、期待に胸ときめかせているところである。

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