わが、骨折、入院、手術、松葉杖、リハビリ体験記

2014年12月29日に亀甲山の坂を駆け下りようとして、ぬれたマンホールのふたに足を取られ滑って転んでしまいました。結果は足首脱臼骨折。

実は骨折事故を起こしたときに駆け込んだのは近くの病院でした。でもそこでは手術ができなかったために、そこでギブスをしてもらい、松葉杖のかんたんな講習を受けて家に帰されました。ベッドルームが2階にあるために2階に上るのが大変でした、後ろ向きに階段に座り、腕と右足を使って一段ずついざり上がっていくことで大変な思いをして階段を上がりました。

松葉杖を借りました。松葉杖を使用するにあたり、注意を受けたことが2つありました。それは体重を支えるのは両腕であり、脇で支えてはいけないということと、けっして骨折した左足に荷重を加えてはいけないということでした。
実際使ってみるとそれはよくわかります。脇で支えることなんてできるわけがありません。

近所のその病院では手術ができないというので、手術のできる病院を紹介してもらいました。ところが年末、大きな病院はすでに休みに入っていました。やっと今いる病院がみつかりました。ここは30日午前中の受信が可能だということでさっそく30日の朝弟に頼んで車で送ってもらい、受診しました。

前の日にはめられた仮のギブスをとって、レントゲン写真を見ながら整形外科医のドクターはわたしの足首をさわったあといきなり「えい!」とばかりに足首をねじります。あまりの痛さに「ぎえーっ、イテテテテ-」と悲鳴を上げてしまいましたが、それを何度か繰り返し、そのたびに悲鳴を上げながら、だいぶたって「これでよし」といってすぐに今度は前よりも堅く固定してギブスを巻き始めました。
骨折した部分がうまく接合しないうちに固定してしまうとまずいので、できるだけ折れた部分が前の状態のように接合した上で固定する必要があるわけです。
レントゲン写真をみてそのドクター「よし、うまく固定できた」と満足そうでした。

でも「手術は年明けの6日までできないので、それまで入院してもらいます」ということで正月を病院でむかえることとなりました。昨日も痛くてあまりねむれなかったけれど、この日も同じような痛さです。でも耐えられないほどではなかった。
基本的には移動は2本の松葉杖です。最初はなれずにあぶなっかしかったものも、だんだん慣れてきました。

さて運命の手術の日です。何でも金属製のプレートを折れた部分にビス留めして固定する手術なんだそうです。
下半身麻酔で行うということでしたが、意識がはっきりしているというのもなんだしというので意識がもうろうとする薬を処方してもらいました。
手術は1時半から、麻酔医と整形外科医、看護師が二人という態勢の手術でした。
麻酔は背中から脊椎へ注射するのだそうですがその前に痛み止めの注射をするのですが、「この痛み止めの注射がいちばんいたいんだな」と看護師殿がもらしていましたが、笑うに笑えず。
気がついたら3時半頃、手術は終わっていました。
でも下半身は麻酔がきいていて感覚もなく、動かすこともできません。

問題は10時頃。麻酔が切れてくるとともに痛みがこみ上げてきます。それがじんわりじんわり、じんじんじんじんとくるのです。波状的だったらまだしもずーっと同じ痛みが果てしなく続く感じです。これはつらいです。何度も寝返りを打って少しでも楽な姿勢をとおもうのですが、どこも同じです。
ついに堪え切れずにナースコール。痛み止めの
座薬をうってもらいました。

私は前に「尿路結石」で苦しんだことがあります。あのときも痛かった。あれは文字通り七転八倒です。でもあの痛みは波状的でした。あちらの方が痛かったような気もします。実際あのときは耐えられずに救急車を頼みました。しかも救急車が待ちきれず外に出てもだえながら救急車が来るのを待っていたくらいです。「患者はどこですか?」「わたしです。わたしです。う〜」
救急士だったらこれは結石だなってわかったのでしょうね。受け入れ先の病院を探しましたが、結局すぐ近くの病院に運ばれました。ものの1分とたたない搬送でした。
翌日見舞いにきた友人は「世界でいちばん短い距離を救急車に乗った人」とか「七転八倒したらつく距離」とかいわれました。

あれが七転八倒なら今回のは輾転反側、これは必ずしも痛みの表現ではなく、悩みや不安で寝られずに何度も寝返りを打つ様のことを言います。でもやはりこんな感じです。
今回は座薬がきいてきたのかなというそのとき思いつきました。そうだこの痛さを Facebook で発信してみようと。少しは痛さを忘れるかもしれないし、みんなの哀れみを乞うのも悪くないような気がしたのです。
スマホで何とか入力はできました。きました。きました。次から次へと励ましのコメントがつきました。これについては実際の Facebook の方をチェックしてみてください。結局50以上のコメントがついたような気がします。
私は一人一人のコメントに応答するのはしませんでしたが、痛みが治まってきたとかいう途中経過はメッセージとして書きました。
Facebook にはこういう使い方があるんですね。

結局ほとんどまんじりともしないうちに夜が明けました。生涯で一番長い夜だったかもしれません。Facebook のおかげですこしその長さを忘れさせてくれたような気がします。

でも朝になってだいぶ痛みが和らいできました。
朝すぐに9時頃、リハビリの担当が呼びに来てリハビリがはじまりました。

初日(7日)のリハビリは松葉杖の使い方でした。左足に荷重をかけずに両腕で体重支えるというこれまでやってきたことのおさらいでした。実はこれが一番大変だったんですね。

8日は、左足に少し荷重をかける練習をしました。それぞれの足を2台の体重計にのせて左足にどれくらい体重をかけられるのかをはかりました。この日は20kgでした。そのくらいを左足に体重をかけて歩いてご覧と言われて、やりだしました。まず松葉杖と左足を同時に前に出して少し進めます。次に右足を左足の横に持っていきます。また杖を2本そろえて、左足を20センチ前に進めます。

9日(3日目)はまず体重計に乗って左の足に荷重をかけます。今日は40キロまで力をかけても平気でした。
そうしたら、右松葉杖1本でするようにいわれました。まず左足と右松葉杖を同時に前に出します。そのあと右足を左足の横まで持っていきます。そしてまた右松葉杖と左足を同時に出します。思ったよりずっと簡単でした。
次は階段の上り下りに挑戦です。これはおっかなそうです。
「けんけんで片足上がりや片足下りをするのはまだこわいです」
と言ったら
「これもそう難しくはありません。まず上がるところからやってみましょう。
両手に杖を抱えて足と杖を揃えます。まず右足だけを一段上にあげ、その力と杖の力で左足と杖をいちだんあげて右足の横に持っていきます。こうすれば左足にそんなに荷重がかからない。また右足をいちだんうえにあげて同じことを繰り返します。
次ぎに下りです。まず杖と足を揃えて準備です。まず左足と杖を下の段に動かします。次に右足を下の段にもっていき、左足の横に並べます。次に杖と左足を一段下へ動かし、繰り返します。
ほらそんなに難しくないでしょう。上がり下りともに左足と杖を一緒に動かすのです。
最初は緩やかな傾きの階段で始め次に少し傾斜を急にしていきましょう。」
なるほど、なるほど。わりと簡単にしかもみるみるうちに上達してできるようになっていくのがうれしい。
「では病室まで右の杖だけで帰りましょう。ゆっくりでいいですからね。ドクターの了解がとれたら今日から杖1本で歩いてください。」
部屋まで着いたら
「実はもう杖なしでも歩けます。ベッドまでつえなしで歩いてみましょう。ほらできるでしょう。でもまだこれはしないでくださいね。また明日。じゃ、これで。」

自分でもこんなに回復が早いとは思っていなかった。もし一人でこれをするとなるととうていできない。たぶん、一つは失敗するのがこわいからだろう。うまくいかずに倒れ込んだりしたら、またあの痛い目に遭わねばならないからとおもうと行動は慎重にならざるを得ない。「羮に懲りて膾を吹く膾を吹く」である。
これが回復を遅らせる重要な理由の一つだ。
もう一つある。リハビリのための正しい指導法、何ができて何ができないかを知った上で次にするべきことを一つ一つできるようになるまで教えていく。これである。普通はこれがわからない。作業療法士の存在が不可欠なのである。
これはリハビリに限らないだろう。教育にしても介護にしても全く同じことがいえるのではないか。
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