いよさんの「ずれボタ」と「ボロこぼし」

母のいよさん(90歳)をショートステイに送り出している。ほっとするところがないわけではないが、やはりさびしいし、うしろめたい感じもちょっぴりある。
ところでいよさんと一緒にいるときの楽しみが2つある。いよさんには「悪趣味」と言われているのだが、これが楽しくてしょうがない。

ひとつは「ずれボタ」と呼んでいる。いよさんはボタンが全部で9つも付いている紫のカーディガンをもっている。けっこうおしゃれでいよさんも気に入ってよく来ている。ところがこれを着るときによくボタンがずれるのである。どこか掛け違う。これを見つけると
「あ、ずれボタだ。ずれボタだ。楽しいなあ。ずれボタいよさん大好き。どんどんボタンを掛け違えてね。いよさんのずれボタ見つけるのが楽しみなんだから」
と私は喜ぶ。いよさんは
「いーよー。悪趣味なんだから」という。

iyosanもう一つはボロこぼし。食事の時にごはんをボロボロこぼすので、これを「ボロこぼし」という。
そのための防止策として食事の前に「エプロン(よだれかけ)」をつけることにしている。このエプロンを「ばばバーバー」と呼んでいる。ばばがするバーバー(とこや)ふうのエプロンというわけである。この「ばばバーバー」をつけながらいよさんにいう。
「どんどんボロこぼししてね。いよさんのボロこぼしを見つけるのが大好きなんだから」
食事が終わってエプロンをはずすときに
「たのしみだなあ。いよさんはいくつボロこぼししたかな。いよさんのボロこぼしの数を数えるのが大好きなんだ。」
といいながら
「あ、見つけた。ここにひとつ。ここにもひとつ。あれもうないのかな。つまらないな。」
こういうといよさんはすぐにそのこぼしたごはんつぶを口に運んでしまう。
「もう、ないよーっだ。人の失敗を見て喜ぶなんて悪趣味なんだから。」
といいながらもまんざら悪い気はしていない模様である。

だから、口のまわりにごはんつぶがついているのを見つけると、もう歓喜である。涙がこぼれるくらいにうれしい。すぐにデジカメで撮影したあとに鏡を持ち出して自分の顔を見るようにいって「いよさん、かわい〜い」を連発する。

そして「いよさんと一緒にいるとたのしいなあ。」と例のセリフをいう。
「わたしゃちっとも楽しくないよ。苦しいよ。」
「いよさんは苦しくても至さんは楽しいよ。いよさんは人を楽しませる隠れた才能を持っているんだから。」
「そうかな〜。」

「ばばバーバー」「ずれボタ」「ボロこぼし」いずれのネーミングもまたいいと気に入っている。

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